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【お遍路日記】第5回目と伊予路から土佐路(足摺岬)『粗雑な日常の所作をふくめて、平凡と思えることでも、学びはあふれている。』

土曜日5回目のお遍路ツアー

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バリバリと打ちつける強雨、傘におさまりきらない身体は、雨に沁みていく。「お遍路でおきるすべてのことは、お大師様の手の中にあります」ベテランの女性ガイドさんが、諭すようにマイクで語りかける。

「うまいことおっしゃるもんや」と思いながら、聖武天応が東大寺を造り、鎮護国家を目指したように、お遍路バスの中は清廉な素直な気持ちで鎮護されている。こんな事は理不尽であるれる日々の経済活動の中にないなと思う。たしかにお遍路中は愚痴はほとんどないわけで、それは、この死に装束の白衣にあるかも知れず、そういえば病院の白衣もそんな効果があるようで、白の色はお鍋の中の豆腐のような役割もありなんと思いながら・・・。すべてを甘受しお遍路はつづく。

松山から高速をつたい、愛南町の四十番札所、観自在寺へ。お賽銭をアンダースローで投げ入れていると、先達さんが「それはやめてください」とおっしゃる。「お賽銭の入り口の斜めに下る坂の板の上に手をじかに置き、そこから手を斜めの坂に滑らしながら、賽銭をすべらすといいですよ」と教えてくださった。なるほど、お遍路の一つ一つが勉強でございます。粗雑な日常の所作をふくめて、反省であり。平凡と思えることでも、学びはあふれている。

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バスは宿毛市三十九番札所延光寺へ。赤い亀が背中に乗せて竜宮城から持ち帰ったというお寺の梵鐘伝説のお寺(そんなわけないやろ、赤い亀はあったとしても、亀がおぼれるやろ、と心はいつもながら突っ込みをいれる)。そこでは、白衣の背中に亀の印を求めるお遍路さん達。第20番札所の鶴林寺の鶴の印とセットになると、鶴亀になって縁起がいいという。僕はなんとなくパスをしたが、特に意味はない。

お遍路は、実に巧妙にこのような寝技がしこまれている。恋愛もいきなりキスができるわけでなく、いろいろな仕掛けにあがないながらも、徐々にそんな快楽をもとめていくわけで「もっと、もっとほしい、じらして・・」、と、その寝技は、お遍路の恋心をJAZZのように奏でていた。(笑)

朝の7時半に松山市駅を出発し、バスは最終目的地の足摺岬の難所三十八番札所金剛福寺に到着したのは15時ちょっと前。金剛福寺は 120,000平方メートルを誇る大道場で、甲子園のグランド面積とほぼ等しい。奇石が芸術のように石庭の池の周りに配置され見事で、古刹なお寺とは違った光を放ったお寺だった。

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足摺岬でジョン万次郎にあうのは何十年ぶりだろう、小雨の展望台に上っていくと、うねりうねられた底から、なにかの念が音になって 吼えているような海鳴りが聞こえてくる。実に荒々しく、太平洋のおそるべきエネルギーを感じた。岬から見渡す、荒れた海の水平線は、広角で、視界におさまらず、スケールがでっかい。

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「最近、感動することがない」などと、ほざいていた僕も。このお遍路に参加させていただきながら、純粋な童心のような心を取り戻すと、物事を感じる力が少々湧いてきているのを感じるのが不思議だ。

お遍路で自分のことばかりお祈り事をするのは一切やめた、どうせ一度の人生なら、お大師様のように拝まれる人に、なれないかと野望も考えたが(笑)、小さく誰かに褒められることくらいは、やってみようと思えるようになってきた。

まず、手始めにベタなことだが。家の履き物を揃えるのを今実行している、これは1分でできるからだ。一人ではできそうにもないので(情けないのだが・・)、息子とやり始めた。息子がちゃんと履き物を揃えていたらお菓子を買ってくるというゲーム感覚で始めた。僕はその褒め役を演じている。(笑)これがやってみると意外な効果があるのが不思議だ、家に帰ると履き物がそろっていると、なんかそれだけで、心が整う。偽善といわれようが、不純と言われようが、スタートはこんなもんでしか、できない。自分は姑息な最低男なのだ。そして、朝一出かけるときに、息子の靴だけをきちんと揃えて目立つように置いておく。まだ、本人は気づいてないだろうか・・・いつかこんな些細なことが笑い話になってほしい。

この記事を書いた人 Author Profile

渡部雅泰
渡部雅泰ライター
こんにちは、四国愛媛在住でITの会社を生業としています。元旅行マンなので世界遺産に登録候補になっている四国八十八カ所を廻ることとしました。いつか時間ができたら歩き遍路も挑戦予定ですが、今回はバスツアーで廻ります。笑顔をお届けできたらうれしいです。(^o^)

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四国88ヵ所 お遍路で訪ねたお寺

【徳島県】
1番 霊山寺 (りょうぜんじ)
2番 極楽寺 (ごくらくじ)
3番 金泉寺 (こんせんじ)
4番 大日寺 (だいにちじ)
5番 地蔵寺 (じぞうじ)
6番 安楽寺 (あんらくじ)
7番 十楽寺 (じゅうらくじ)
8番 熊谷寺 (くまたにじ)
9番 法輪寺 (ほうりんじ)
10番 切幡寺 (きりはたじ)
11番 藤井寺 (ふじいでら)
12番 焼山寺 (しょうさんじ)
13番 大日寺 (だいにちじ)
14番 常楽寺 (じょうらくじ)
15番 国分寺 (こくぶんじ)
16番 観音寺 (かんのんじ)
17番 井戸寺 いどじ)
18番 恩山寺 (おんざんじ)
19番 立江寺 (たつえじ)
20番 鶴林寺 (かくりんじ)
21番 太龍寺 (たいりゅうじ)
22番 平等寺 (びょうどうじ)
23番 薬王寺 (やくおうじ)

【高知県】
24番 最御崎寺 (ほつみさきじ)
25番 津照寺 (しんしょうじ)
26番 金頂剛寺 (こんごうちょうじ)
27番 神峯寺 (こうのみねじ)
28番 大日寺 (だいにちじ)
29番 番国分寺 (こくぶんじ)
30番 善楽寺 (ぜんらくじ)
31番 竹林寺 (ちくりんじ)
32番 禅師峰寺 (ぜんじぶじ)
33番 雪蹊寺 (せっけいじ)
34番 種間寺(たねまじ)
35番 清滝寺 (きよたきじ)
36番 青龍寺(せいりゅうじ)
37番 岩本寺(いわもとじ)
38番 金剛福寺(こんごうふくじ)
39番 延光寺(えんこうじ)

【愛媛県】
40番 観自在寺(かんじざいじ)
41番 龍光寺 (りゅうこうじ)
42番 仏木寺 (ぶつもくじ)
43番 明石寺 (めいせきじ)
44番 大寶寺 (だいほうじ)
45番 岩屋寺 (いわやじ)
46番 浄瑠璃寺 (じょうるりじ)
47番 八坂寺 (やさかじ)
48番 西林寺 (いさいりんじ)
49番 浄土寺 (じょうどじ)
50番 繁多寺 (はんたじ)
51番 石手寺 (いしてじ)
52番 太山寺 (たいさんじ)
53番 円明寺 (えんみょうじ)
54番 延命寺 (えんめいじ)
55番 南光坊 (なんこうぼう)
56番 泰山寺 (たいさんじ)
57番 栄福寺 (えいふくじ)
58番 仙遊寺 (せんゆうじ)
59番 国分寺 (こくぶんじ)
60番 横峰寺 (よこみねじ)
61番 香園寺 (こうおんじ)
62番 宝寿寺 (ほうじゅじ)
63番 吉祥寺 (きちじょうじ)
64番 前神寺 (まえがみじ)
65番 三角寺 (さんかくじ)

【香川県】
66番 雲辺寺 (うんぺんじ)
67番 大興寺 (だいこうじ)
68番 神恵院 (じんねいん)
69番 観音寺 (かんのんじ)
70番 本山寺 (もとやまじ)
71番 弥谷寺 (いやだにじ)
72番 曼荼羅寺 (まんだらじ)
73番 出釈迦寺 (しゅっしゃかじ)
74番 甲山寺 (こうざんじ)
75番 善通寺 (ぜんつうじ)
76番 金倉寺(こんぞうじ)
77番 道隆寺 (どうりゅうじ)
78番 郷照寺 (ごしょうじ)
79番 天皇寺(てんのうじ)
80番 国分寺 (こくぶんじ)
81番 白峯寺(しろみねじ)
82番 根香寺(ねごろじ)
83番 一宮寺 (いちのみやじ)
84番 屋島寺 (やしまじ)
85番 八栗寺 (やくりじ)
86番 志度寺 (しどじ)
87番 長尾寺 (ながおじ)
88番 大窪寺 (おおくぼじ)

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