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六番札所 安楽寺(あんらくじ) 弘法大師によって温泉湯治の利益が伝えられた旧跡 #6Anrakuji

四国遍路でお寺に温泉があるという珍しいお寺が安楽寺。温泉湯治の御利益を伝えたお寺なんだろうね。平安時代に温泉なんかあるとたまりませんね(笑)。人生はささやかなものであるけれど、毎日温泉に入れたら幸せだと思う。

エジプトはピラミッドで王の権威を見せつけた、ローマの皇帝はローマの街に巨大なカラカラ浴場をつくった。ローマ皇帝も日々の人民の気を紛らわすのに浴場をつくるとは頭のキレがちがう。(笑)皇帝も入浴し裸の付き合いという社交場の文化なんですかね。しかしですよ、このカラカラ浴場というのも宗教の支配(肌を見せてはダメ)により衰退したとのこと。歴史は深いです。お大師様も、たくさんの温泉を発見されています。


司馬遼太郎先生の「空海の風景」を読んでいて、空海のルーツ、父方の佐伯氏は常陸の国で、砂鉄や水銀の採鉱にたずさわっていたとのこと。ひょっとしたら温泉を見つけたり、治水灌漑などの技術のポテンシャルもその辺りがルーツとも考えてみると、うなづけますね。

そして母方は、阿刀(アト)氏(渡来人系)。産鉄に携わっていたとも・・・。この強力なバックボーンが、遣唐使で中国でたくさんの書物や、技術書を購入する資金源になったとも言われています。

空海は、母方の叔父の阿刀大足はたいそうな血統です。桓武天皇の第三皇子である伊予親王の侍講が、空海に漢籍を教えてくれた母方の叔父の阿刀大足です。(※あの、奈良の大仏の時に登場した、玄昉も阿刀氏の出です。)

空海は長岡での生活に入った。阿刀大足について論語、孝経および史伝などの儒書ならびに詩文を学び、三年の歳月をすごした。かれの後年の教養にとってこの期間は小さくない意味をもっていたであろう。「筆ヲ下セバ文ヲ成ス」(『続日本後紀』)といわれた空海の青年期の教養と文章力の基礎はほぼこの受験準備中につくられたとみてよく、そのことはかれの精励によるものとはいえ、たかが大学の科試の準備という初等課程の修学のために阿刀大足のような碩学からほとんど付ききりの陶冶をうけたということは異常なほどの幸運である。空海の才華はひらくべくしてひらいたというより、それに豊饒な土をあたえたのはこの期間の叔父であったにちがいなく、とくに空海がその生涯において阿刀氏以外に一人の師に入念に就いたということがなさそうなことを思えば、そういう感がふかい 「空海の風景」より

162320910-2016-07-05 09.05.08-28 162820822-2016-07-05 09.04.39-33 162810421-2016-07-05 09.04.25-36 20160702-2016-07-02 11.38.40 20160702-2016-07-02 11.29.45 20160702-2016-07-02 11.38.50 20160702-2016-07-02 11.36.08 162810421-2016-07-05 09.05.04-29 20160702-2016-07-02 11.44.52 20160702-2016-07-02 12.16.12 20160702-2016-07-02 12.16.16

『四國禮霊場記』(元禄2年=1689)には「医王の神化を人みな仰ぎ寺院繁栄に至り、十二宇門甍を接し鈴鐘のひびき絶える時なし…」と記され、その昔は阿讃の山麓から現在地まで寺域が点在し、戦国時代の兵火や明治維新の神仏分離令を経て現在に至っている。
ここ引野村には古くから温泉があり、安楽寺は弘法大師によって温泉湯治の利益が伝えられた旧跡で、山号は温泉山とされた。(現在も大師堂前から温泉が湧き出ている。)桃山時代に阿波藩祖・蜂須賀家政公が「駅路寺」と定め、四国遍路や旅人の宿泊、茶湯接待の施設を置いた。その記録である「駅路寺文書」(慶長3年=1598)が今も残されており、宿坊はいらい400年の歴史を有する。藩政時代は山門に蜂須賀家の家紋が入った雪洞が許され、寺域は殺生禁断とされた。茅葺き屋根の方丈は、250年前に蜂須賀公により寄進され、質素ながら堂々とした木造建築である。

愛知県尾西市の水谷しづさん(当時49歳)は、脊髄カリエスの難病にかかり床についていた。当寺の住職は、夫の繁治氏に病床で苦しむしづさんを伴い、四国遍路をすすめた。二人は遍路の旅を決行した。ところが不思議にも巡礼の途中に、しづさんの難病が快癒した。現在の本尊・薬師如来像は、その報恩のために奉納されたもので、43センチほどの古来の本尊は胎内仏として納められている。昭和37年のことである。安楽寺には、運慶・快慶の流れをくむ慶派の京都大仏師・松本明慶師(1945〜)が無名時代から彫り続けた仏像三十五体が各御堂に祀られている。大師堂の弘法大師像はじめ、愛染明王、不動明王などである。また、性霊殿には胎蔵曼荼羅・金剛界曼荼羅がかけられ、石の壁には「五筆和尚」と称された弘法大師のさまざまな筆法の書が刻まれている。

 

第6番札所 温泉山 瑠璃光院 安楽寺
おんせんざん るりこういん あんらくじ

宗 派: 高野山真言宗
本 尊: 薬師如来(伝弘法大師作)
開 基: 弘法大師
創 建: 弘仁6年(815)
真 言: おん ころころ せんだり
まとうぎ そわか
住 所: 〒771-1311 徳島県板野郡上板町引野8
電 話: 088-694-2046
駐車場: 普通80台・大型バス10台・無料
宿 坊: あり(300人・温泉あり)
URL http://www.shikoku6.or.jp/

この記事を書いた人 Author Profile

渡部雅泰
渡部雅泰ライター
こんにちは、四国愛媛在住でITの会社を生業としています。元旅行マンなので世界遺産に登録候補になっている四国八十八カ所を廻ることとしました。いつか時間ができたら歩き遍路も挑戦予定ですが、今回はバスツアーで廻ります。笑顔をお届けできたらうれしいです。(^o^)

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四国88ヵ所 お遍路で訪ねたお寺

【徳島県】
1番 霊山寺 (りょうぜんじ)
2番 極楽寺 (ごくらくじ)
3番 金泉寺 (こんせんじ)
4番 大日寺 (だいにちじ)
5番 地蔵寺 (じぞうじ)
6番 安楽寺 (あんらくじ)
7番 十楽寺 (じゅうらくじ)
8番 熊谷寺 (くまたにじ)
9番 法輪寺 (ほうりんじ)
10番 切幡寺 (きりはたじ)
11番 藤井寺 (ふじいでら)
12番 焼山寺 (しょうさんじ)
13番 大日寺 (だいにちじ)
14番 常楽寺 (じょうらくじ)
15番 国分寺 (こくぶんじ)
16番 観音寺 (かんのんじ)
17番 井戸寺 いどじ)
18番 恩山寺 (おんざんじ)
19番 立江寺 (たつえじ)
20番 鶴林寺 (かくりんじ)
21番 太龍寺 (たいりゅうじ)
22番 平等寺 (びょうどうじ)
23番 薬王寺 (やくおうじ)

【高知県】
24番 最御崎寺 (ほつみさきじ)
25番 津照寺 (しんしょうじ)
26番 金頂剛寺 (こんごうちょうじ)
27番 神峯寺 (こうのみねじ)
28番 大日寺 (だいにちじ)
29番 番国分寺 (こくぶんじ)
30番 善楽寺 (ぜんらくじ)
31番 竹林寺 (ちくりんじ)
32番 禅師峰寺 (ぜんじぶじ)
33番 雪蹊寺 (せっけいじ)
34番 種間寺(たねまじ)
35番 清滝寺 (きよたきじ)
36番 青龍寺(せいりゅうじ)
37番 岩本寺(いわもとじ)
38番 金剛福寺(こんごうふくじ)
39番 延光寺(えんこうじ)

【愛媛県】
40番 観自在寺(かんじざいじ)
41番 龍光寺 (りゅうこうじ)
42番 仏木寺 (ぶつもくじ)
43番 明石寺 (めいせきじ)
44番 大寶寺 (だいほうじ)
45番 岩屋寺 (いわやじ)
46番 浄瑠璃寺 (じょうるりじ)
47番 八坂寺 (やさかじ)
48番 西林寺 (いさいりんじ)
49番 浄土寺 (じょうどじ)
50番 繁多寺 (はんたじ)
51番 石手寺 (いしてじ)
52番 太山寺 (たいさんじ)
53番 円明寺 (えんみょうじ)
54番 延命寺 (えんめいじ)
55番 南光坊 (なんこうぼう)
56番 泰山寺 (たいさんじ)
57番 栄福寺 (えいふくじ)
58番 仙遊寺 (せんゆうじ)
59番 国分寺 (こくぶんじ)
60番 横峰寺 (よこみねじ)
61番 香園寺 (こうおんじ)
62番 宝寿寺 (ほうじゅじ)
63番 吉祥寺 (きちじょうじ)
64番 前神寺 (まえがみじ)
65番 三角寺 (さんかくじ)

【香川県】
66番 雲辺寺 (うんぺんじ)
67番 大興寺 (だいこうじ)
68番 神恵院 (じんねいん)
69番 観音寺 (かんのんじ)
70番 本山寺 (もとやまじ)
71番 弥谷寺 (いやだにじ)
72番 曼荼羅寺 (まんだらじ)
73番 出釈迦寺 (しゅっしゃかじ)
74番 甲山寺 (こうざんじ)
75番 善通寺 (ぜんつうじ)
76番 金倉寺(こんぞうじ)
77番 道隆寺 (どうりゅうじ)
78番 郷照寺 (ごしょうじ)
79番 天皇寺(てんのうじ)
80番 国分寺 (こくぶんじ)
81番 白峯寺(しろみねじ)
82番 根香寺(ねごろじ)
83番 一宮寺 (いちのみやじ)
84番 屋島寺 (やしまじ)
85番 八栗寺 (やくりじ)
86番 志度寺 (しどじ)
87番 長尾寺 (ながおじ)
88番 大窪寺 (おおくぼじ)

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